2015/12/10

転落死亡事故の責任は美泉にある!裁判所前で宣伝活動


「よってきんさい古江」の転落死亡事故

介護労働者Tさんは無実・無罪!
全責任は、会社・美泉にある!

 12月10日より「保護責任者遺棄致死被告事件」の裁判員裁判が開始されます。グループホーム『よってきんさい古江』で、5月18日に認知症高齢者が2階から転落し、それを「放置して」死亡させたという容疑で、介護職の青年労働者Tさんが逮捕・起訴された事件です。「保護責任者遺棄致死」罪などとんでもないことです。Tさんは無実です。この事故のすべての責任は、グループホームに安全対策を行わず、過酷な労働条件で介護労働者を働かせてきた施設の運営会社・「美泉」の福川千富泉代表にあります。
 Tさんは、美泉で11年間働いてきましたが、最近の人員不足の中で「夜勤専門要員」として美泉が経営するいくつものグループホームの夜勤をたらい回しにされていました。夜勤明けの日にその日の夜勤のホームを指示されるというデタラメさです。事故が起きる前は7日間連続して夜勤(!)をさせられていました。「自分が夜勤をやらないと他の人に迷惑がかかる」と考えて、不当な夜勤指示にも応じていました。労働者の善意を悪用した会社による酷使です。

◆介護保険制度・介護の民営化が根本原因

 9月には、神奈川県の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」での「転落事故・虐待」の衝撃的な報道がされました。アミーユを展開する「メッセージ」の第三者調査委員会は、2年間に81件の虐待が判明した、と報告しています。全国のいたるところの介護施設(グループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅など)で重大事故が頻発しています。
 「介護現場の崩壊」と言えるこの状況の根本原因は、2000年の介護保険制度導入によって、介護が「儲けるための産業」にさせられたことです。規制緩和と限度を超えた合理化が容認され、1円でも多く儲けるために、労働者をとことん低賃金で働かせ、できるだけ少ない人員で職場を回させ、金のかかる安全対策はないがしろにされてきました。
 美泉は、「地域の中で、お年寄りがその人らしく最期まで暮らせる場所を」とうたいながら、グループホーム、デイサービスなどを次々と立ち上げ、2008年には3億円を超える売上を計上しています。古民家を借りて安上がりな施設として使い、2階に柵を設置するなどの安全対策も行わず、今回の死亡事故を引き起こしたのです。            
 また美泉は、「ボランティア精神」で働くのが当たり前として、矛盾を介護労働者の奮闘に全部負わせてきたのです。現場では人員不足、過重労働が当たり前になり、最大9人の認知症高齢者を1人で介護する夜勤は、神経をすり減らし、体力を消耗する労働なのです。その現実に声を上げればパワハラ・首切りが襲いかかる、まさに「ブラック企業」と化しています。これは全国の介護職場の現実でもあります。
 安倍政権は、現在「介護離職ゼロ」を掲げています。介護はより低賃金の労働者に担わせ、それで資本家を儲けさせる政策です。介護職場の安全崩壊と介護労働者の貧困・生活苦をいっそうおし進めるものです。
 アミーユ事件でも、労働者が解雇・自主退職を迫られた上に、近々書類送検されると報道されています。絶対に許すことはできません。アミーユの職場でも、東京北部ユニオン・アミーユ支部の仲間が、団体交渉で事故の責任を追及してたたかっています。

◆Tさん支援を理由の小此木組合員の解雇を許さない

 広島連帯ユニオンは事故直後から、「現場労働者に責任は一切ない。介護労働者こそ、労働組合に加入して、介護職場を変えよう」と訴えてきました。
 美泉グループ『よってきんさい草津』で働いていた広島連帯ユニオンの小此木組合員は、この立場で、事故直後ただちに面会し同僚のTさんに面会して支援を続けていますが、7月に美泉により突然解雇されました。Tさんを支援したことへの報復であり、不当労働行為です。広島連帯ユニオンは小此木組合員の解雇撤回闘争を闘いぬき、労働組合の団結の力によって福川代表の責任を追及し、無実の介護職の青年労働者Tさんを取り戻します。
 全国の介護職場で、青年・女性をはじめとする介護労働者の怒りが充満しています。「からだをこわすほど働いても生きていけない!」「誇りを持って働きたい!」―――この介護労働者の怒りの爆発を恐れる安倍政権と介護資本・経営者が、介護労働者を「犯罪者」に仕立て上げ、黙らせ、押さえつけようとしているのです。絶対に許せません!
 広島と全国の介護労働者の仲間のみなさん!労働者の誇りと団結を取り戻して、この現実に立ち向かいましょう。職場に労働組合を結成して、「安全より金もうけ」の介護産業、アベノミクスの医療・介護の大改悪と闘いましょう!

■広島連帯ユニオン・小此木組合員の決意・言葉

「良いケアを…」のうたい文句で利用者を集め、その実、常勤職員を減らし、非正規にして現場を「労働監獄」にしているではないか! そして事故が起これば全て職員に押し付ける。逆だ!「事故」や「虐待」のすべての責任は、もうけや効率を第一にする経営者にある!Tさんを半年以上も拘置所に閉じ込め、有罪・実刑にし、労働者としての誇りを奪おうとしていることを絶対に許さない。Tさんとともにどこまでもたたかう!解雇撤回の火を燃やし続け、美泉に組合の仲間を作り、全国の介護労働者の先頭で共にたたかいぬく! ともに闘おう!

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